実演家に求められるコミュニケーションスキルについて考えてみた。

こんにちは。
anchorage代表の窪田茜です。

今日は実演家、特に俳優に求められるコミュニケーションスキルについて考えてみました。

そもそもコミュニケーションとは

コミュニケーションとは「情報交換」「意思の疎通」をすることです。
互いに気持ちや意思、情報を交換することなのですが、例えば言葉を交わしていなくても、目と目が合って微笑んだり、または目をそらしたりするのも互いに気持ちや情報を交換していますよね。
(ちなみにLINEを返さない、というのもコミュニケーションだったりしますね。返さないことで自分の意見や状況を伝えている訳です。単に忘れてる場合もありますが。)

そんな感じでコミュニケーションスキルというのは、情報交換のスキルだったりする訳です。
「交換」というだけあって、コミュニケーションスキルが高い方は一方的に自分の意見だけを押し付けるわけでも、一方的に相手の意見だけを受け入れるわけでもありません。
互いの気持ちや情報を交換しあって意思疎通を図っていくこと、そのスキルが高い人をコミュニケーションスキルが高いと呼びます。


今回はすこし大雑把に俳優に求められるコミュニケーションスキルで、他業界と比較するとちょっと特殊な必要性を考えてみました。

大きくはこの4つについて記載していきます。

  • 毎回新しいメンバーと関係を築いていく必要性
  • 短時間で監督や演出家の意向をくみ取る必要性
  • 不確実で曖昧なものを理解してアウトプットしていく必要性
  • 仕事の場面のみでなく、普段から高いコミュニケーション能力を発揮する必要性

ちなみにTwitterでもつぶやいています。

毎回変わる座組(チームメンバー)

まずひとつ目。
多くの場合俳優は参加する作品ごとに監督や演出家、スタッフ、共演者(これらを含めて「座組」と言われます)が変わります。
新人のうちは全員が初対面、マネージャーの同行もないケースも少なくありません。

自分という人間を知ってもらう作業と、その場にいる方々を知る作業、座組の空気感を捉えてそのシチュエーションで求められる役割を考え立ち振る舞っていきます。

活動歴が長くなると業界内での知り合いや過去の共演者などが増えてコミュニケーションに関わる負担は軽減されます。
また”相手側がこちらを知っている”状態になった場合も相手が忖度してくれる率が上がり、初対面でもコミュニケーションでの負担は軽くなります。
ただ、今度はイメージの維持・向上や、周囲からの期待、責任感など別の負担が生まれてきます。

短時間・短期間

スポーツの試合で例えると、試合ごとに毎回監督・チームメイトが変わるようなイメージです。自分がそのチームに参加できるかは不明です。
一般企業で例えると、月単位で契約終了の不安を抱えながら、初月から上司や先輩・同僚とよい関係を築いて期待通りもしくは期待以上のアウトプットを出し続けるというイメージです。

劇団に所属していたり、グループやユニット活動をしている場合、ある程度固定されたメンバーでの活動になるかと思いますが、多くの俳優は作品ごとに違った座組になります。
舞台公演であれば数か月時間をともにしますが、映像の現場ではメインキャストやレギュラーキャスト以外は衣装合わせ含めて1~数日などとても短期間でのアウトプットになります。
その短い期間で情報をキャッチしてすり合わせることが必要になります。

不確実で曖昧なものをコミュニケーションを通じてアウトプットしていく作業

監督や演出家、共演者などとの1からのコミュニケーションが必要になりますが、ひとりひとり情報の伝達の仕方にはクセがあります。
情緒的なコミュニケーションが得意な人、論理的なコミュニケーションが得意な人、相手の性格タイプや力関係、その人のバックグラウンドによってもコミュニケーションの取り方には違いがあります。

そういった中で不確実で曖昧なものをくみ取り、互いに確認・理解を行い、アウトプットしていく作業が必要になってくる訳ですが、とにかく時間がない現場では端役の場合その確認・理解の時間を十分にとれないことはザラにあります。
そのため多くの俳優は過去作などさまざまなものから情報収集・分析し意図を推測をしてアウトプットしていきます。

求められるのは仕事の期間だけではない

仕事の期間中だけでなく、常日頃から高いコミュニケーション能力が求められます。

評価基準として、パフォーマンス能力だけで評価されるのかというと現在はそういう訳ではありません。
個人的な感覚ですが実演家の評価軸の中に「コミュニケーション能力」は割と高く配置されているように感じます。

そこに関してはいろいろな意見があると思いますが、個人的にパフォーマンスもコミュニケーションの一環であることや、作品づくりのチームメンバーとしてコミュニケーションが大切な要因であることは否定できないと思います。

オーディションや直接仕事に関わる場面でなくとも、どこかで「仕事に影響がある可能性」というのを考えながら多くの俳優や実演家は周囲の人たちとコミュニケーションをとっています。

まとめ

  • 毎回新しいメンバーと関係を築いていく必要性
  • 短時間で監督や演出家の意向をくみ取る必要性
  • 不確実で曖昧なものを理解してアウトプットしていく必要性
  • 仕事の場面のみでなく、普段から高いコミュニケーション能力を発揮する必要性

といった形のちょっと特殊で高いコミュニケーションスキルが求められるのかなと思います。
他にも事務所とのコミュニケーションやファンとのコミュニケーションなど書き出したらキリがないのですが、今回はここまで。

これらの負担度は人それぞれによって大きく変わります。
負担と感じずに楽しめる方もいれば、ものすごく負担に感じる方もいます。

そのあたりの感じ方は人それぞれ違うものなので、一概に良し悪しを判断するのではなく自分に合ったコミュニケーションスタイルを見つけていくことが大切なのかな、と感じています。